注62. 協調性を重んじる行動様式

従来の日本では、農耕社会の風土が残っており、「全員が同じことができる」ことを前提として、「皆で相互に助け合う」考え方を重視してきました。これによって1980年代の末までの日本では、チーム中心の仕事の仕方が普通でした。この仕事の仕方の場合、チームの誰かが不得意な仕事は、チームの別の、その仕事を得意とする人が肩代わりして行い、チーム全体としてはしっかりと仕事を成し遂げるようにします。これは、仕事の内容が高度に専門的でない場合、とても有効な方法です。しかし、1990以降の経済が著しく発展した社会では、作業者一人一人に課される仕事の内容に専門性が高く、チームは異なる専門性をもった人々で作り上げられているため、他のチームのメンバーがある人の仕事を肩代わりすることはできなくなっています。1980年代の末頃から、当時の文部省では、将来の日本を支える人材を育成することを目的として、1990年代の末ごろから、個人の才能を活かして仕事をする人材の育成を可能とする「ゆとり教育」の導入に力を入れました。しかし、2010年頃になると、生徒の学力低下が問題視され、1980年代に実施されていた従来型の教育に戻りました。以前の教育で育てられた親の世代の人々には、「ゆとり教育」が将来の日本人にとって重要な人材を育てる教育であることが理解できなかったからでしょう。また、教育現場で実際に子供達を指導する教員にとっても、「ゆとり教育」の実践は難しく、戸惑いがありました。

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